昨日BS放送でプロジェクトXの4Kリマスター版を放送していた。電化製品やクルマ、建築のいぇ~いという内容ではなく大分湯布院の話であった。
高度成長期全盛になった社員旅行で隣接する別府温泉が大繁盛する一方でこじんまりとした湯布院は大きく出遅れて宿も存亡の危機に瀕していたのだそう。
その後、ドイツのバーデンをお手本とした街づくりをして、国内人気no.1の温泉街になったのだ。
昨日の高校野球決勝では満塁ホームランが出たけど、まさにそんな感じだよね。
僕は一度だけ湯布院玉の湯に行ったことがあるのだけど、確かに素晴らしい宿と街であった。
それは、会社の社員旅行である。その頃会社役員は年度営業数値目標が達成出来たら、決算賞与で頑張った社員に還元しご褒美に普段個人では行けないようなハイグレードの宿に泊まる社員旅行をしようと決めていてその年は、湯布院の宿玉の湯になったのだ。
その後会社はオーナーが変わったら、そういった考え方は一切否定されてしまった。
利益は全て事業成長に再投資するものであるという投資家ならではの信念だよね。
そして社員旅行はオーナーが変わる際の何も変えない合意が180度変わる象徴になってしまった。だから僕にとって社員旅行は素晴らしい体験の思い出であると同時に、大いなる教訓でもあるのだ、
さて、実は旧役員間で社員旅行の話が出た時僕はあまり乗り気じゃなかったのである。
というのもの、ぼくにとっての社員旅行は最悪の思い出だった。
僕は大学を卒業して銀行に就職した、配属されたのは、今でこそめっちゃおしゃれな街になっているけど、当時は住宅と町工場が混在し、貧民街と揶揄されるような支店だった。
華やかな大企業を相手にビジネスをしていた店舗に配属された同期が羨ましかったなぁ。
僕が配属された支店は、昔ながらの足で動いて頭を下げて預金集めに精を出すような支店だった。
それゆえ上司も昔ながらの古いタイプの銀行員が多かった。僕はその時点で新人育成のために準備されていたはずのジョブローテーションを完全に無視された形で1年間出納という現金を扱う仕事ばかりを宛がわれた。
大企業相手の店舗に配属された同期はコンピュータを操作する預金や為替といった仕事を3か月くらいで終えて外為とか融資とか格好の良い仕事を経験させてもらっていたのだ。
当時は半年間強制的に寮生活だったから同期の武勇伝が嫌でも耳に入ってくる一方僕は毎日、近くの駅の中にある立ち食い蕎麦屋のねぎくさい硬貨両替を繰り返していたのだ。
そして僕の自ジョブローテーションを決めていた上司や支店長は皆たたき上げの人達で、人材育成のジョブローテーションなんかには無理解無関心、
大卒の生意気な新入社員はカネ数えで十分と考えていたのであろう。しかもその上司たち、朝から酒臭い、昨晩の深酒が抜けないで仕事してる。銀行金融と言えば最先端の仕事を想像していた僕にとっては最悪の職場だ。当然そんな感情が顔や態度に出てしまっていたのだろう、事あるごとに僕は上司からお小言を貰っていた。
そんな中で、熱海へ支店の社員旅行があった。旅館について、会食で座敷で席に着くとなんと僕の横に気の合わない上司が陣取ってくるではないか、不穏な空気を察した気の良いベテランの女子行員が近くに座って、上司の気を自分の方に向けさせるべく話しかけてくれていた。
しかし、日頃酒臭いアル中上司のターゲットは僕だ、完全にロックオンされ乾杯でアルコールが入ったら攻撃はもう止まらない、僕への嫌味が延々と始まってしまった、これほんとに終わることなく延々とである。
前は生意気だといった話だったように思う、僕は機嫌を損ね攻撃が激化しないようずっと謝っていた記憶がある。
今でこそアルハラなんて言葉があるけど、僕にしてみれば完璧にいじめであった、あの時ハラスメントという言葉が欲しかったなぁ。
トイレで部屋を抜け出した僕はトイレでひとしきり泣いて(泣かされたんか~い泣)落ち着いてから、そっと宿を抜け出してお宮の松まで歩いたことを今も覚えている。本当に最低最悪の社員旅行であった。今もし当時の上司Tに逢ったら殴って首を絞めてしまうかもしれない、(だから絶対に逢いませんように南無南無)。
一方、自分が上司の立場で行った社員旅行は、宿のグレードの高さもあって僕にとっては最高だった、僕に絡んでくる人も当然居ないしね、そして湯布院はめっちゃよかったです。宿には立派な本棚があって小林秀雄の全集が並んでいた(知的だよね~)熱海の温泉宿とは比べようもない。(熱海の温泉宿が悪いわけではないのですが、何か良かった思い出が無いんですよね)湯布院の素晴らしさは一軒の宿だけじゃなくて町全体の雰囲気が最高に良いんです。それは街づくりの賜物なのでしょうネットでみつけた街づくりに関す文章を最後に貼っておきます。
さて今になって気になるのは社員目線でどうだったのかだよね。
ある時社員の中から、旅行の参加は強制ですかという声が上がった。
湯布院のような遠地に行く場合どうしても日程上土曜日を絡めるしかなかった。
社員へのご褒美旅行でお客様に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
休みの日が無くなることに不満を感じる社員もいたのだろう。
僕の最低の社員旅行と同じで役員上司と一緒の旅行なんて楽しくないと感じる社員も居て当然だよね、だって自分がそうだったんだもの。
旅行に行くならその費用を直接欲しいというストレートな声もあったようだ。
もし僕が再び会社をやるとしたらこの社員旅行の習慣は是非実現したいな、もちろん最悪の経験を反面教師にした最高の体験を実現する社員旅行をね、でもその前に、最高の職場を作る方が先だよね。嫌な職場は小説が書けるくらいたくさん経験してきたからね。
プロジェクトXではこのエピソードをやっていました。