世界が色々な意味で大きな転換期を迎えている今日、そのなかでも一番劇的な変化を見せているのはやはり「情報」の領域でしょう。
「情報」において激しく行き交うのがデジタル化された「データ」です。
「データ」は、もとは「基礎的な事実や資料を指す言葉」(wikipedia)とありますが、デジタル処理のための素材としての位置付けが日に日に増しています。
この先「データ」は何処に行くのでしょうか?
大昔にデータを洞窟の壁、木簡や 皮、そして紙に固定することで記録が生じ、それによって人は多くの知識を蓄積してきました。「知の集積」です。
また、コンピュータの出現によりデータを加工することで新たな意味を見つけ出すことも可能になりました。「知の発見」です
そして、ネットワークの出現によりデータは固形物から解き放たれ幅広くそして素早く流通するものに生まれ変わりました。「知の交換」です。
例えば、この「発見と交換」を先取りして大きく成長したのがセブンイレブンです。
また「知の交換」によりすべてのものがデータとしては等価となったことも大きな変化でした。コンビニの単品売り上げデータも個人の健康診断結果データもデータとしては同じです。つまり、物の価値と質の価値の分離が起きたのです。これは「知のコスト」が劇的に下がることを意味します。
一方で「知の交換」によって、知識は「静的なもの」から「動的なもの」に変わりました。固定的な概念、例えば、類型論が通用しなくなったのです。
「動的な知の生成」は情報技術の一層の進化によりリアルタイム化し、主役は「生成ルール」に変わりつつあります。これが「アルゴリズム」です。
現在、金融市場の主要なプレイヤーは人間ではありません。小さなアルゴリズムの膨大な集積によってミリ秒単位で取引が行われているのです。そして、このアルゴリズムの振る舞いを私たちは理解どころか知ることもできません。人の叡智を超えているからです。
2010年5月におきた「
フラッシュ・クラッシュ」はその一例と言われます。
現在はアルゴリズムは人が作っていますが、これからはその役割を人工知能(AI)が請け負うことになるでしょう。
グーグルやIBMなど、IT先進企業が開発に力を入れている人工知能とは、「知の生成ルール」の生成ルール作りです。
アルゴリズムをAIが作り出すようになったら世の中はどうなるでしょうか。
おそらく、データもアルゴリズムも私たちから見えなくなる、全てが消失します。
今以上に、何が起きているのかもわからないまま、日々が営まれ、何が起きたかわからないままに、突然大きな影響を受ける、そんな世界です。
私たちに残るのは「私たちの日々」のゴール設定とデザインです。
見えないところで世界が動いている気持ち悪さをこえる「心地よさのデザイン」があることが、最終的に見て人間上位であることの表れだからです。
しかし、どこまでも人間にとって心地よい世界であり続けるか、というとそれには懐疑的な意見が多くあります。
特に、"Singularity"と呼ばれる技術的進化の特異点を迎えた後の社会において懸念されるのもこの点なのでしょう。
私たちの世界?