法政大学長岡教授と慶應義塾大学加藤教授が開発した「がちゃトーク」に出会ったのは、2012年6月に
経営学習研究所(MALL)1回目のイベントに参加した時でした。
今になって、長岡教授のMELCラボが主催した「
対話の場づくり入門:〈がちゃトーク〉を鑑賞する」が、MALLの1回目のイベントになった理由がわかってきたように思います。
その後、長岡先生、加藤先生が主催され、市ヶ谷のCafe Katyで開催される月1回のがちゃトークに可能な限り参加しています。
今月は、先週金曜日に開催されましたが、対話の大テーマは「組み合わせ」でした。
トークテーマが「妥協する?ぴったり嵌るものを探し続ける?」「組合せと順列の違いをエピソードで語ってください」「大好きな映画を観ながらドリンクを飲む。あなたが選ぶ映画とドリンクの組合せは?」「食べ物とお酒の組み合せ」(記憶している限り、こんな感じでした)と、相変わらず、語りたい、聴きたいテーマ満載でした。
そこで、個人の気づきでちゃトークを考えてみます。
まず、「対話の場」としてデザインですが、ポイントは「掟」と「等価交換」にあるのではないでしょうか。
「掟」は、参加自由、まず名乗らない・名刺交換をしない、進め方とタイムマネジメントがある、というところです。
ビジネスシーンで当たり前の、「名刺交換」「自己紹介」を禁じているのは、アンチではなくトークの場の本質を見据えているからでしょう。
がちゃトークの場で主役はテーマと対話であり、「応答するコミュニケーション」や「答え探し」「結論づけ」は排されるべきです。
そして、それらはビジネスシーンの定番でもあります。
ビジネスの延長ではない場である、ということを自然と気づかせる「掟」だと思います。
しかし、ビジネスにどっぷり染まった人にとって心地悪い経験です。私も最初は肩書を知らない人といっしょに過ごす落ち着かない場でした。
続いて「等価交換」ですが、がちゃトークなのでトークするのかといえば、確率的にはトークするより他者のトークを聴く機会のほうが圧倒的に多いです。
つまり実は「がちゃリスニング(傾聴)」なのです。
しかし、場として求められるのはトークですから、しっかりと傾聴し、そしてテーマからスピーチを組み立て偶然3分間話し、その後対話するという等価性がとても強いです。
ゆえに、参加者が大学生であっても、教授であっても、ビジネスマンであっても、経営者であっても、カフェのマスターであっても成立する「対話の場」なのでしょう。
この、掟、非ビジネスシーン、傾聴、等価交換は、ビジネスの世界に染まった人にとって意味づけが難しいのかもしれません。
参加自由ですが、興味を持って1、2度参加しても、その後参加が無くなるのはビジネス場面で仕切る役割に慣れている人たちのように思えます。
さて、がちゃトークのもうひとつの特徴は、「短時間で本質に気づく」「内省をすすめる」という思考の鍛錬の場であることです。
いろいろな学びの場があると思いますが、本質に気づくことは簡単ではありません。
そもそも、社会人において何を学びたいのかというニーズは「いますぐ役立つこと」になりがちです。これは社内研修を行うなかでも感じることです。
他方で「どんなときにでも役に立つ学び」があります。
「本質への気づき」とはまさにそんな学びです。
ところで、短時間で出来る「いますぐ役立つ学び」が役立つほど仕事は単純ではありません。結局「勉強になりました」とその場で終わってしまうことがほとんどです。研修などで満足度が高くても、実務への応用(転移)が進まないのも頷けます。
脳の偶有性を創発させ、本質に気づくことを学び、内省により経験に新たな意味づけする。
どうやらこのような思考を身につけるためには誰でも鍛錬が必要であるようです。
そして、がちゃトークはこのプロセスを実践しています。
がちゃトークの本質は、まだまだ奥深そうです。
美味しい場