最近2つの企業のトップ人事に関わる話題が持ち上がっています。
ひとつは、セブン&アイ・ホールディングスのは鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)の退任発表、もうひとつは、クックパッドの社長交替と労組結成に関してです。
トップ人事で記憶に新しいのは、大塚家具の親子の争いですが、創業者とその後を継ぐ経営者との間には様々な衝突があります。
その最たるものが、事業の中核から外れた創業者が主導権の回復を目論でいるものです。
ここで言う「事業の中核」とは単に、組織のトップに君臨するということではなく、事業のアトラクター(引き込み役)としての機能です。
創業時は創業者が間違いなくアトラクターです。
しかし、組織が時間発展するなかで、カルマン渦のごとく、アトラクターは移ろいでいきます。たとえば、部門を作ったときにその管理者は新たなアトラクターとなり、時に創業者よりも強くメンバーを引き込みます。
クックパッドはその良い例です。創業者であり大株主の意向で交替させられた前社長のほうが社員を引き込む力が強いことは労組結成の流れを見るとよくわかります。
時代や状況のよる事業構造の変化、周囲の人との関係性といった組織構造の変化など、変化は日々起きています。
その中で、創業者は常にアトラクターとして自らポジショニングを更新しない限り、機能を喪失していきます。
具体的には、変化の読み間違い、乗り遅れ、スピンアウトなどです。
つまり、事業の維持・発展にむけて社内外の力を集める主役でなくなっているにも関わらず、影響力を行使する(しようとする)ときに組織は混乱し、迷走し、ときに崩壊します。
セブン&アイ・ホールディングスのケースはもう少し複雑で、アトラクターの機能を失った創業家とそのあと会社を発展させたものの同様にアトラクターの機能を失った功労者が組織に対する影響力を発揮し続けようとして混乱が生じたものだと分析しています。
組織学習においてこれまでの成功体験や組織構造をアンラーニング(学習棄却)は相違や変化を受け入れる行為であり、これによってしか、慣性軌道、習慣強化から離脱できる方法はありません。
創業者や創業者を支えた人達がアンラーニングを進めないと、その企業が提供する価値は時代の要請から乖離し、それが人事問題、権力闘争として表面化する図式は、言い換えると創業者が組織活動にネガティブ・フィードバックを与えている状況であると言えるでしょう。
創業時の夢再びで、同じ事業を興す人も居ますがうまくいくケースは稀です。むしろ、ブックオフを創業し、会社から離れた後、まったく異なる業界で「俺のフレンチ」を成功させたケースのように異業種で成功するケースが多いのは、創業と事業発展においてもアンラーニングが極めて大切であることの証であるように思います。
アトラクターは常に動く