ジョブズやザッカーバーグ、アインシュタインがワンパターンの服装で決断の数を減らすのと同じで、不要な決断はしないからだ。
かといって同じ店に毎日通うほどロイヤルティを持っていないので、いくつかのお気に入り店をローテーションする。
行きつけの店は、中華、とんかつ、唐揚げ、寿司、カレー、うどんなどバリエーションを持って被らないようにしているのだけど、必ずそれらの決まった店に行けるとも限らない。
そう、「ランチの挑戦」は勝手に僕を待っている。
今日はその「挑戦」の日だった。
用事で外出し、ちょうど昼の時間帯になったため、歩きながらお店を探し、そして入った店は路地裏のとんかつ屋だった。
実は、様子を探ろうと店の前を行ったり来たりしてみたのだけど、中は全く見えなかった。
意を決してお店の戸を開けると、おそらく80歳くらいの老夫婦がそこに居る。
正しくは、ただ座っていた。
即座に『このお店、お客は来るのだろうか』と感じたけれど、他に誰ひとり客がいない店を後にするのはあまりにも感じが悪いし、お年寄りに悲しい想いはさせたくない。
無言で入店すると、お婆さんはカウンター4席とテーブル席10席の店内でテーブル席の真ん中に僕を通してくれた。
そして、僕の印象は確信に変わった。
『おそらくこの店、僕が食べている間に他の客は来ない。』
店内を見渡すと座った席の前にビールを冷やすケースがあるが、電源は入っていない。
年季の入った木造の店に不似合いな大きなクーラーからは不気味な匂いが漂ってくる。
木造の古い家で漂う例の臭いなのか、それ以外の臭いなのかはわからなかったが、食欲は即座に失せた。
僕は、あまり空気を吸い込まないように無言で料理を待ち、出てきたヒレカツランチ定食を一気に平らげ店を後にした。
ヒレカツランチ定食は不味くなかったように思うけど正直、食べながら味はどうでも良いと思った時、僕はランチから挑まれた戦いに勝つことができなかったのだ。
世に中には、素敵な雰囲気でにぎわっている店もあれば、絶対にインスタに投稿されないような手強い店も世の中にはたくさんある。
やはり僕はランチファイターにはなれそうもない。
これはうまうま