2025年2月4日火曜日

不安について三者三様の「不安」

哲学者ハイデガーは人が本來的に生きられないのは「不安」があるからであると考えました不安から目を背けるために、人間は、世人が提供してくれる安易な答えにすがりついてしまいます。頽落するということは、本来の自分、自分らしく生きるチャンスを自ら手放し、そこから「逃走」することでしかありません。

心理学者エドガー・シャインは変革と不安の関係性について以下のように変革における学習不安(新しいことを学ぶ恐れ)と生存不安(変わらなければ生き残れない危機感)を提唱しました。人は学習不安が強いと変化を拒むが、生存不安がそれを上回ると変革を受け入れると指摘。学習不安を減らすためには、心理的安全性の確保や支援的リーダーシップが重要だと述べています。エドガー・シャイン(Edgar H. Schein)は、変革プロセスにおける「学習不安(learning anxiety)」と「生存不安(survival anxiety)」の概念を提唱しました。

1. 学習不安(Learning Anxiety)

学習不安とは、新しいことを学ぶ際に生じる恐怖や不安のことを指します。これは以下のような要因によって引き起こされます。

- 既存の知識やスキルが通用しなくなる不安

- 失敗することへの恐怖

- 他者から無能だと見なされることへの心配

- 組織や社会から排除される恐れ  

シャインは、この学習不安が変革の妨げになると指摘しています。人は「現在の方法では不十分だ」と分かっていても、「新しい方法を学ぶことが怖い」と感じるため、変化を拒むことが多いのです。

2. 生存不安(Survival Anxiety)  

生存不安とは、「変わらなければ生き残れない」という危機感から生じる不安です。例えば、組織が変革しなければ競争に負けてしまう、新しいスキルを身につけなければ職を失う、といった状況がこれに該当します。  

シャインは、人々が変化を受け入れるためには、「生存不安」が「学習不安」よりも強くならなければならないと述べています。つまり、「このままではダメだ」という危機意識が、「新しいことを学ぶのが怖い」という感情を上回ると、人は学習し、変化を受け入れるようになるのです。

 3. 学習不安を軽減する方法

シャインは、変革を促進するために学習不安を軽減することが重要だと述べています。その方法として以下のようなアプローチを提案しています。  

- **心理的安全性の確保**:失敗しても非難されない環境を作る  

- **小さな成功体験を積ませる**:新しいスキルや考え方に慣れさせる  

- **支援的なリーダーシップ**:学習をサポートし、安心感を与える  

- **組織文化の変革**:学習を奨励し、挑戦することを評価する文化を育む  

このように、シャインは変革において「学習不安を減らし、生存不安を適切に高める」ことが重要だと説いています。

作家芥川龍之介はぼんやりとした不安という表現で理由不明の不安心理を表した。


哲学者と心理学者は逃避の原因として、文学者は生きづらさの表現として「不安」を語る。もう少し突っ込んで言うならば哲学者は本來的な存在になるためには向き合って乗り越えるもの、心理学者は変革の原動力、文学者は文章で表現すべき心模様ということになる。いずれにしても不安と向き合うことで人生は変わっていくものなのである。