2026年10月18日日曜日

組織の「サイロ化(部門間の壁)」を打ち破り、「境界超越(バウンダリー・スパンニング)」を促すための実践的アプローチ

評価の怖さを超えて、部門の壁を溶かす:6MoNでつくる「境界超越(バウンダリー・スパンニング)」の対話デザイン

「他部門が何を目指しているのか見えない」「営業部と開発部の意見が衝突し、お互い牽制し合っている」——組織の成長とともに生じる「サイロ化(部門間の連携不足)」は、多くの企業が抱える切実な構造的課題です。

この壁を越えて協働を生み出す「境界超越(バウンダリー・スパンニング)」を促すために、スローガンや重いHR施策は必要ありません。

本記事では、たった6問60秒の行為選好心理コンパス「6MoN(ロクモン)」を活用し、なぜサイロ化が起きるのか、そしてどのように安全かつ急速に部門間の壁を溶かしていけるのか、そのメカニズムと実践アプローチを考察します。

1. なぜ部門間に「壁」ができるのか?:行為選好のすれ違い

部門間の不全は、個人のモチベーション不足や「仲の悪さ」だけが原因ではありません。 人は置かれた環境や役割(文脈)によって、無意識に「行為選好(その場での選び方・動き出し方・関わり方)」を立ち上げています。

6MoNの4つのワールドで見ると、各部門で立ち上がりやすい選好に偏りが生じることで、壁が形成されます。

  • A(アクティブ): 現場や営業など、目標達成のために素早く動き・突破しようとする力。

  • B(コラボ): 聞く・調整する・関係性を整える力。

  • C(エシカル): 品質やコンプライアンス、既存のルールや責任を守る力。

  • D(インサイト): 企画・研究開発など、本質を探究し新しい構造を見立てる力。

例えば、突破力を重視する現場(A過剰)と、リスク回避や品質を守ろうとする管理・開発部門(C過剰)が出会うと、「強引で独断的」「硬直的で動きが遅い」とお互いをネガティブにラベル貼りしてしまいます。

サイロ化の本質は、「互いの選び方(行為選好)とその背景にある文脈が見えていないこと」にあるのです。

2. 6MoNがサイロを突破するメカニズム:絆強化の因果モデル

大がかりなエンゲージメントサーベイや評価ツールは、現場に「評価される怖さ(評価脅威)」を生み、かえって本音の対話を阻害することがあります。

6MoNは人を分類・評価する採点表ではなく、「選び方を映す鏡」です。6MoNを媒介にすることで、以下の連鎖(絆強化モデル)が急速に回転し始めます。





① 低い評価脅威 × 深い自己開示(社会的浸透の加速)

6MoNは「優劣」ではなく「スタンス(選び方)」を扱うため、評価される危険を感じることなく「実は今、守り(C)の姿勢になっていた」「もっと探究(D)したい」という内面に近い対話が短時間で発生します。

② 「ジョハリの窓」を通じた他者観察と鏡の機能

6MoNでは「自分が思う自部署の立ち位置」だけでなく、「他部署から見えた自分たちの印象」を重ね合わせることができます。 「全体最適(D)を考えていたつもりが、他部署からは先送り(Dの過剰)に見えていた」という認識のズレ(盲点)が浮き彫りになり、対立ではなく「どうしてそう見えたのか?」という対話の入口に変わります。

③ 「見てもらえた・理解された感覚(Being seen / Feeling understood)」の創出

他部署のメンバーが自分たちの回答に注意を向け、背景にある苦労や選好を推察してくれる体験を通じて、「自分たちの立場を見てくれていた(Being seen)」「理解してもらえた(Feeling understood)」という強い感覚が生まれます。この体験こそが、部門を超えた心理的安全性と信頼(Bond)の基盤となります。

3. 境界超越を実装する2つの実践対話アプローチ

実際に組織内でサイロ化を解消し、境界超越を促すための具体的な6MoN活用プログラムです。

アプローチA:過去5時点の回想による「ナラティブの共有」

自部署や自分の歴史を5つの節目(過去〜現在)で振り返り、6MoNで可視化します。

  • 効果: 「なぜ今の営業部はA(即決・突破)を選びがちなのか」「なぜ開発部はC(守り・検証)を重視するようになったのか」という過去からの歴史(ナラティブ)に触れることで、現在のスタンスに対する納得とリスペクトが生まれます。

アプローチB:「バルコニートーク」による空間的対話

6MoNの4つのワールド(A/B/C/D)を模した空間に立ち、他部署から見た自部署の印象(「出会った頃の印象」と「現在の印象」)を移動しながら対話します。

  • 効果: 客観的な「鏡」として他者視点を受け取ることで、自部署の強みや盲点に気づき、「これからはC(守り)だけでなく、B(他部署の意見を聞く)やA(共同での挑戦)へと選び直そう」という前向きな行動変容(選び直し)が可能になります。

4. まとめ:答えではなく問いから始まる「境界超越」

部門間の連携不足を解消するための境界超越は、誰かに無理な役割を強いることでも、性格を変えさせることでもありません。

6MoNという軽量で安全な対話装置を挟むことで、

  • 「お互いがどのような文脈で、どの選び方(行為選好)をしているのか」を客観的に映し出し、

  • 評価ではなく対話を通じて、互いを理解し、

  • これからの協働に向けた「よりよい選び直し」を共に行う

というプロセスが生まれます。

たった6問60秒から始まる小さな気づきと対話が、部門の壁を溶かし、組織全体を一つのしなやかな物語へと前進させていきます。

(本記事は、6MoNの行為選好モデルおよび対話デザインをベースに作成されました)