2025年8月15日金曜日

グーグルの「オキシゲン・エイト」と山本七平の「九徳」に見る、人望あるマネジャーの条件(過去記事のリサイクル版)

グーグルの「オキシゲン・エイト」と山本七平の「九徳」に見る、人望あるマネジャーの条件

1. グーグルのオキシゲン・プロジェクト

Googleはマネジャーの質向上を目的に「オキシゲン・プロジェクト」を実施し、データ解析を通じて8つの望ましい行動特性3つの陥りやすい罠を明らかにしました。

8つの重要な行動(重要度順)

  1. 良きコーチである

  2. チームに権限を与え、マイクロマネジメントしない

  3. メンバーの成功と幸福に関心を持つ

  4. 生産的かつ成果重視である

  5. 良きコミュニケーターであり、傾聴する

  6. キャリア開発を支援する

  7. 明確なビジョンと戦略を示す

  8. 技術的スキルを持ち、助言できる

陥りやすい3つの罠

  1. チームへの移行に苦労する

  2. 業績評価・キャリア開発に一貫性を欠く

  3. 管理やコミュニケーションに十分な時間を割かない

要約すれば、「メンバーとその未来に積極的に関わり、対話し、明確な意思を持ち、仕事のツボを押さえるマネジャー」が理想像です。


2. 山本七平氏の「九徳」

一方、山本七平氏は『人間集団における人望の研究』で、古典『近思録』にある九徳を引用し、人望を集める指導者の資質として提示しました。

  1. 寛にして栗(寛大だが締まりがある)

  2. 柔にして立(柔和だが処理能力がある)

  3. 愿にして恭(真面目だが丁寧で親しみやすい)

  4. 乱にして敬(治める力があり慎み深い)

  5. 擾にして毅(おとなしいが芯が強い)

  6. 直にして温(正直だが温和)

  7. 簡にして廉(大らかだがしっかりしている)

  8. 剛にして塞(剛健で内面が充実)

  9. 彊にして義(勇敢で義理堅い)

これらは概念的・人格的な資質を示しており、欠けた場合の「望ましくない状態」も明確にされます。


3. 両者の関係性

  • オキシゲン・エイト:具体的な行動様式を明示

  • 九徳:概念的・人格的な指針を示す

両者を重ねてみると、オキシゲン・エイトは「九徳」を行動レベルに落とし込んだ具体例ともいえます。
例えば「良きコーチである」は「柔にして立」「愿にして恭」に通じ、「明確なビジョンと戦略を示す」は「剛にして塞」「彊にして義」に通じます。


4. 現代的示唆

  • スキルや能力志向だけでは人望は築けない。人格的資質と日々の行動が一致する必要がある。

  • データで裏付けられた行動特性(オキシゲン・エイト)と、文化・歴史に根差した徳目(九徳)は補完関係にある。

  • マネジャー育成では「行動評価」と「人格形成」の両輪が不可欠。


まとめ

オキシゲン・エイトは人望を獲得するための「行動マニュアル」、九徳はその背骨となる「人間的器」。
両方を意識して育成することが、現代組織における持続的なリーダーシップの源泉となるでしょう。