時に、はっとするようなコピーに出会うことがある。表題の「集中よりも夢中でしょ」は、まさにそのひとつだ。
確かに、夢中になっているときには集中もしている。しかし、「集中していること=夢中なことか」と問われると、必ずしもそうとは言い切れない。たとえば「仕事だからやらねば」「やるべきだから集中する」といった状況では、確かに集中していても、それが“推し活”のように心から夢中になっている状態かといえば、違う気がする。
そう考えると、「夢中」の方がより広く、自由なパワーバンドを持っているように感じられる。そして、この感覚的なニュアンスを見事に言い当てている点で、このコピーは実に秀逸だと思う。
さて、昨日ニュースでも取り上げられていたが、大谷翔平投手の初回の集中力が、その後の試合の流れを決定づけ、チームの連敗を止めたと監督がコメントしていた。大谷選手は、どちらかと言えば「夢中で集中している」タイプだろう。しかし、彼の集中力は周囲にも伝播するような強い波動を持ち、TPOに応じて自在に発揮される――それは本当にすごいことだ。
一方で、「夢中」はときに個人的な嗜好と見なされ、パーソナライズされたものと受け取られる傾向がある。それに対し、「集中」は誰もがある程度、他者に向けて発揮しうる。つまり、夢中はパーソナルかつローカルなパワーバンドであり、集中はパブリックかつグローバルなパワーバンドである――そんなふうにも言えそうだ。
このように考えると、「普遍性」という観点においては、集中>夢中 となるのかもしれない。
