2023年8月14日月曜日

デカルトの呪縛?Ghost in the machine(機械の中の幽霊)という難問

創発を理解することは容易くないそれは私達の信念が素朴理論によって固められているからなのかもしれない、それは全体は部分から構成されるというデカルトの要素還元主義と、私達は機械のような身体と魂によって出来ていると考えるやはりデカルトの心身二元論である。

創発の概念は,17 世紀に René Descartesによって提唱された要素還元主義の考え方では説明で きなかった問題を説明可能にしている.例えば,要素還元主義 の考えに従った場合,動物は自動機械のよう に説明することが可能であるが,現実に存在する動物の行動, 多様な機能の発現,群れなどに見られる秩序および動物の進化 などは説明することができなかった.このような生命システム に見られる創発とは,「自律的にふるまう個体(要素)間および環 境との間の局所的な相互作用が大域的な秩序を発現し(ボトム アップ),他方,そのように生じた秩序が個体のふるまいを拘束 する(トップダウン)という動的過程により,新しい機能,形 質,行動が獲得されること」と定義されている創発デザインと最適デザイン,その概念(佐藤・松岡)

要素還元主義は要素を支配する原理は全体も支配していると考える、社会は人という要素から構成されるのであれば、社会は人の道理に沿ったものでなければならない、しかし現実社会で起きている出来事は複雑で説明不能なものばかりだ、協働の高度な形態である組織もしかりだ。

もちろん人の行動原理が通用する組織もあるが、組織の多様性や固有の発展プロセスは要素還元主義では説明出来ない。要素に還元出来ないこれは還元不能という創発の定義に合致するあとは意図不在で、要素間の関係性のゆらぎがあれば社会も組織も創発の概念で説明出来ることになる。しかし、私達は何者にも何事にも意味を見つけたがる(因果で捉える)信念を持っているため、意図不在・還元不能な現象というものを受け入れることが苦手なのだ、だから脳の中にはホモンクルスという小人が居ると考えたりデカルトの心身二元論を自然に受け入れるのだ一方、人工知能や人工生命の研究でRyle は『The concept of mind』(Ryle, 1949) の中でとデカルトの心身二元論では「機械の中の幽霊 (Ghost in the machine)」 という言葉を用いて批判した.身体を機械のように 捉えると,人間の心的機能の発現を説明するために つかみ所のない幽霊が存在するとしなければなら ない.Ryle は,これを避けるためには,身体と心 を異質な立場にあると解釈する人間観を脱し,身体 やそれを通じておこなわれる行為こそが心の働くあ りさまそのものであると捉えるべきことを議論して いる(鳴海,2019)