どのような対立かというと、
知能は実体的なもの ⇔ 賢さは獲得できるものだ
という、知能の捉え方の相違です。前者では、例え新しい知識は獲得できたとしても、頭の良さ(知能)そのものは変わらない、賢さは生来きまっているものであるという立場をとるので、賢さが他者への優位性の根源となり、賢い人物だと思われたい潜在的な欲求、動機を内在しています。
賢く見せること、失敗しないことに、良い成績を取ることにエネルギーが注がれ、成績が落ちると無力感に陥る傾向を持ちます。
組織においてこのような知能観を持った社員は、良い評価を得るために仕事をするので、評価の定まらない、もしくは評価が落ちる可能性がある仕事を避けます。また、評価が下がった場合に、絶望的な見通しを持ってネガティブな空気を発信するので、昨今のような、経営環境が激しく変化する状況において、マインド上の荷物になります。
このような知能観を持った人物には、以下の2つの代表的なパターンがあります。
1.高学歴、優秀で大学を卒業した者
2.逆に学歴などにコンプレックスのある者
いずれにしもて困るのは、ポジティブフィードバックの効果が低く、自分の仕事や能力に対するプライドは高いものの、新しい取り組みや踏み込んだ他者の支援などは「やらない」「できない」「関係ない」と簡単に言ってしまうことです。
マネジャーは、「信頼関係が出来ていない」とか「自分のマネジメントに問題があるのでは」とたいそう悩むのですが、固定的知能観の人は、従業員満足度調査を実施すると満足度が低く出る傾向が確認出来ていますからどこまでが本人の特性でどこからがマネジメントの問題か、見極めることが大切になってきます。
さて、固定的知能観の人を成長的知能観に転換させることは出来るのでしょうか。
これまので経験ではかなり困難です。
しかしなかがら、「複雑系 COMPLEXITY」M・ミッチェル・ワードロップ著の一節が参考になると思います。
その一節とは、ロスアラモス研究所のポストドック、クリス・ラングストンが28歳の時にハング・グライダーで大事故に逢い、酷い状態であったとき、大学病院と、そこでの物理療法やスポーツ医学のプログラムを通じて到達した考え方です。
「とにかく努力を続けろ、進歩しろ、というわけだ。そこでぼくが気がついたのは、枠を超えなければいけない、つまり、今の自分を受け入れてそこから出発するように自分の精神を変えていかなければいけない。いまの自分を悪く思うのではなく、進歩するのは良いことだと思うようにしなければいけないということだ。それでぼくは、みんなからのけものにされて変に思われていると感じながら、それをありのままに受け入れて生きようと決心したわけだ。」(P.368より抜粋)
ラングストンの事例を参考にすると、マネジャーは、プログラムを作成し、医者や療法士のごとく粘り強く、「努力」、「進歩」を言い続ける必要があるようです。
実は、従業員に「ホウレンソウ」を禁止し「常に考える」ことを求め続ける未来工業はまさに、このアプローチを実践する企業だと思います。
成長しよう!