カントはすべての自由意志が最適化された状態を目的の王国と呼んだそうだ。
この場合の自由意志とはなすべきことを定めて成し遂げる力のことを指す。
目的の王国では全ての自由意志が最適化され他者の自由意思を侵害することなく共存できている理想的な状態である。
最適化とはそこにあるミクロの要素それぞれが最も効率的効果的に無駄なく相反せずマクロ(全体)を構成している状態である。この世界は多様で複雑な繋がりで成り立っているから最適化というのは、概念的理想であって、実現可能性は極めて低いのである。部分最適化は可能であるけれど、まあ、すべてのトレードオフを排することは現実的ではないから現実世界での全体最適化は最も効果的効率的な状態を指していると考えたほうがいいだろう。カントの目的の王国もミクロの秩序とマクロの秩序が同時に併存している状態だとすれば現実味が帯びてくる。個別最適化とは、ミクロの秩序を主語にした併存であり、全体最適化は、マクロの秩序を主語にした併存である。個別最適化の集まりが全体最適になるわけじゃ無いのだ。さて複雑系科学では、このミクロの秩序とマクロの秩序の自然発生的関連性をスレービング原理と呼んでいる
スレービング(隷従化)原理とそこで説明される自己組織化のメカニズムとは,ミクロなゆらぎによる相互作用の中で,マクロな拘束条件にたまたま適合したものが,マクロな秩序パラメータ(order parameter)として,他のミクロな動きを次々と引き込み,マクロレベルの秩序を出現させる,というものである。
この現象を鑑みると個別最適化とは個の最適化(個のゆらぎの相互作用)の中で全体最適に叶うものが全体の秩序として出現し、他のミクロの動きを次々と引き込んでいく一連のプロセスを経るものであると考えられるのではないだろうか。
