2023年12月8日金曜日

開けゴマ認知面接で記憶の扉を開け

アメリカの犯罪調査ドラマを観ているとたまに認知面接という言葉が出てくる、色々な事情で思い出せなくなっている人に犯罪調査の一環で、聞き取りを行う際に、使われる手法だ。それは、生き物の認知と記憶の仕組みを使ったものなのであるが、例えば帰省しておかあさんの料理を口にした瞬間に幼少期の事が鮮やかに思い出されるといった経験や同窓会で幼馴染に会った瞬間に昔の些細な出来事まで蘇る経験は多くの人が持っているのではないだろうか、記憶とは脳の中に情報として完全な形で保存されているものでは無く、マルチモーダル(多感覚)の認知リソースとして保存されていて、思い出すということは思い出す時点でそれらのリソースを再構成して知識化しているのだ。良く知られているのは記憶はだんだんポジティブ化されていくという現象だよね。過去の辛い思い出もだんだん良い思い出になっていくのだ。それは、記憶とは、事実の再現ではなく、再生であることの証でもある。
私は昨日、近所のパン屋に立ち寄ったと言っても、車椅子なので店の外から眺めただけだが、店内にディスプレイ的に置かれた古いレジスターや、古びた商品ディスプレイを見て子供の頃自宅の近所にあった、兄の友達の家が営むパン屋の記憶が不意に蘇っていた、蘇ったというより新たに生成したのだろう、さて、冒頭の犯罪調査における認知面接では、匂い、味覚といった認知リソースを使って犯罪現場での記憶を呼び起こす、この、マルチモーダルな認知リソースを使った記憶の再生は認知症予防に効果がある回想法でも、使われる、昔の写真や絵を使って、思い出すのだ。出来事を思い出す記憶の扉を開くおまじないは開けゴマではなく、よく食べた食事の味だったり、朝、町内に漂っていた焼き魚の匂いなのである。

古びたディスプレイ


年代物のレジスター

あっ、昔のパン屋の記憶が蘇る。