ところがこの要素は重層的に入り組んでいるので、枠組みとして理解するより実際はもっと厄介です。
日本の物作りは主に現場力によって支えられて来ました。仕事を通じて人が育ち、育った人が仕事を作る、その連鎖によって現場力が高められて来たのです。そこにはプロフェッショナリズムによるヒエラルキーとリーダーシップが構築され、その構造をより高めるために改善が繰り返されてきたのです。
一方、経営的観点でのマネジメントにおいては、現場力はひとつの資源として理解されます。故に、変化の先読みと経営の戦略化によって選択と集中、変革や革新が実施され業務プロセスが再構築されます。
つまり積み上げることで現場力を高める業務に対して、組み替えることで競争優位性を獲得しようとするマネジメントの立場があって、そのことを忘れて「仕事と人」を考えることは出来ません。
要は、仕事と人が重層的であるのに加えて、現場とマネジメントも重層的な関係なので場面、場面で状況が揺らいでいるのです。
困難な環境、状況下にあって、経営者も含めた組織構成員は現場、マネジメント、仕事、人、どこに拠り所を持てば良いのでしょうか。
よい組織では、相互に矛盾をはらみながら重層的関係性を維持しているようです。そのツボは相互に尊重しながら恊働することにあるように思います。
一方、上手く行っていない組織では、どれかを上においてそれ以外を下に置くといった階層的関係性になり、それを固定化(「これでいいのだ」)する、またはそれをひっくり返す(「さっきはあっち、つぎはこっち」)ことをしています。
そして、そこで言っている「組織」とは、じつは「組織の中の人」ひとりひとり、そのものであるのです。
それぞれが、硬直化したり朝令暮改にならずに交流と対話によって重層的関係を実現することが現場のプロセスとマネジメントのプロセスを融合する核心だと思います。
個と全体