2013年9月22日日曜日

複眼で創発する人事の仕事

組織における人事担当者は投資家
人事担当者は10年後を見通した仮説が必要
仮説を複眼で検証し仕事を創発


組織人事のなかで、例えば採用担当者であれば、入社してから退職するまで、最長で40年以上、組織の一員となる3億円の人材投資を行っていると考えられます。10人なら30億、100人なら300億です。企業の業績が悪化するとリストラで事業を立て直すのが常套手段であることを見ても、人材投資は企業にとって非常に重要なテーマです。その出発点が採用活動であって、日本では被雇用者の権利が強く守られていることも忘れてはなりません。

投資家が投資を行うにあたっては、仮説を持って様々な分析で仮説の検証を行うように、人材投資に関しても仮説が重要です。それは、10年後を見通したものとなります。なぜ10年後かというと、人材が一人前になるのに10年と言われる経験則、入社して10年経つと経済環境もライフステージも明らかに変わること、仮説を検証する材料が確実に揃うこと、以上3つがその根拠です。

では、実際に10年後の仮説を持った人材投資、例えば採用活動を行っている企業はどのくらいあるのでしょうか?個人的な印象としては、ほとんどありません。というのも、事業計画が短期間化し、中期3年が一般的になる中で、それを遥かに越えた長期の投資を考えるスキームが成立し難いこともその一因になっていると思います。また、役割化する組織のなかで、10年後どころか3年後に検証を行うべき担当者が異動してしまう人事が当たりまえのように行われています。残念なことです。

さて、医療の現場ではセカンド・オピニオン(当事者以外の専門家である第三者の意見)はすでに一般的です。投資の世界でも、投資仮説を検証するのは第三者の専門機関です。では、組織人事の世界ではどうでしょうか。このことを考えるためには、まず仮説の有無が問題となります。医療の現場では専門医の診断結果がこれに該当します。

顕在化している課題、もしくは未来にむけて自ら設定する課題の本質を明らかにするためには、客観的な診断が必要です。例えば、頭痛がするといってもその原因は様々なように、組織においてイノベーションが起きないという現象からだけでは本質的課題解決は行えません。問題が知覚されたとき、風邪薬を選ぶような対処が好ましくないことは明白です。

ところが、多くのHR系サービスはいきなり処方箋から始まります。採用の母集団が集まらないといったらこのパッケージ、メンタル発症リスクが高いといったらこのパッケージ、マネジメントを強化するならこの研修みたいに、ドラッグストアに行って市販薬を選ぶような手軽さがありますが、本質解決になっているのか大いに疑問があります。

人事の方と本質的な議論の端緒につくと、良く「難しい」という言葉が出て来ます。これは、前述のような投資スパンの問題であったり、組織運営体制と課題のミスマッチが背景にあると思います。しかしながら、投資という、予測不可能、複雑な未来に向けた課題解決ではそれ自体を課題(課題解決の課題)ととらえて解決にむけた取り組みが行われており、それがオピニオンペーパー、セカンド・オピニオンの活用なのです。

たとえ仕事は瞬間であったとしても、瞬間であることが「難しい」のではなく、本質をとらえて解決することが人材に関わる仕事なのだと思います。


植物はこんなに複雑ですが「難しい」とは言いません