まず、3つのドラマの特徴は、過去の清算。人にはそれぞれ囚われている重い過去があって、それが氷塊することで心が満たされるという共通性を私は感じてしまいます。「繰り返すネガティブ」の典型です。
「あまちゃん」はそれを過去の当事者ではない主人公あきちゃんが軽いタッチで偶然っぽく氷塊していきます。この偶然っぽい感じが、宮藤官九郎さんの演出です。ドラマにぶち込まれた小ネタは偶然と言う感じですが、実は必然となっていてそれも心地よいです。
「半沢直樹」は正義心の強い主人公半沢直樹が、父親を自殺に追い込んだ自分が勤める銀行の役員を追いつめていくことで過去を執念をもって打ち壊して行きます。仕返しが、倍返し、100倍返しとなんだか、エスカレートしていくところが気になります。
「Woman」では、主人公小春が、母親の失踪や愛する夫の突然の不条理な死という過去と向き合いながらその背景や理由を目の当たりにし、自分の命と向き合いながら過去を意味づけして行きます。装飾の無い音と満島ひかりさん、田中裕子さんの演技が絶妙です。
さて、これらのドラマとは唐突感がある「お・も・て・な・し」ですが、これらのドラマ共通の演出に感じるのが実は、この「お・も・て・な・し」です。
「おもてなし」の三原則は「したく」「しつらえ」「しかけ」と言われます。それぞれに当てはめて考えてみます。
「したく」とは、客人を向かい入れる準備です。TVドラマでは客人=視聴者ですね。ですから、どのように視聴者を向かい入れるのか、それぞれの脚本家、演出家の趣がよく出ています。「あまちゃん」では、音楽と俳優陣、「半沢直樹」では、主題歌無しと無機質な銀行(風)の建物(都心では日常的です)、「Woman」では、下町風の身近な生活感と情景です。
「しつらえ」は、季節感の演出です。「あまちゃん」では北三陸の四季や地元の物産と方言、「半沢直樹」では逆に季節感の喪失、「Woman」では、下町の夏などが伝わってきました。
そして、「仕掛け」では、主客の融合がおこります。要するに、身の丈感、「こんなことある」とか「こんな人、居る」とか「そう、そう、こんな感じ」という風にアハ体験やクオリアが鏤められていて、最後にはカタルシスが待っています。
ということで、思わず嵌ったTVドラマに意味づけをしてみました。
タイアップの主題歌や楽屋落ちの配役、空気感、生活感の伝わらない場面や演技、飛躍があり見る側が引いてしまうオラオラストーリー、まあ、こんなドラマやバラエティは今の時代、誰も見たくないでしょうね。
台風にも負けない「おもてなし」の時代