組織を機能させるのが「組織開発」、能力や意識を高めてパフォーマンスを引き上げるのが「人材開発」だとすれば、「組織作り」とはその双方を、人事制度や組織化と連動させて推進することと言える。
組織化においては、組織階層や業務分掌に基づき、要員と役割が個人名(バイネーム)で割り当てられる。この組織化は、企業によっては人事企画部門が「神の手」とも言える差配で行い、人材開発や組織開発の実践は現場に委ねられるケースも少なくない。
したがって「組織作り」とは、与えられた差配に沿いながら要員の能力と意欲を引き出し、実際に機能する組織へと育て上げていく、きわめて高度な現場マネジメントなのである。
だからこそ「組織作り」がまず直面するのは、デモグラフィックや価値観の多様性、経験不足や適性の不一致といった、「見えざる手」が残した不具合の後始末にほかならない。むしろ、こうした不具合を解消することこそが、「組織作り」の本質と言えるだろう。
たとえば世代間ギャップはその最たる例だ。生まれ育った環境はその人の「物語」の根幹に大きな影響を与えるが、そのことを自覚できている人は少ない。なぜなら、誰もが自分の物語という無意識のフィルターを通して世界を見ているからだ。自分の物語を認知できていなければ、他者の物語を理解することもできない。
物語とは、決して今この瞬間だけの「ミニマルセルフ(一瞬の自己)」ではなく、過去から未来へと地続きに紡がれる「ナラティブセルフ(物語的自己)」である。それ故に、組織作りは互いのナラティブを紐解くことから始めなければならないのだ。
